別冊 当て馬ならし
「でも・・・あたしは未熟だよ・・・」
「俺もまだ最強じゃねぇ・・・」
そう言って口をとがらすセルヴァン
それが可愛くてすっと人差し指と中指で
その唇に触れる・・・
彼は笑って、
その手を掴み薬指にキスをした。
あたしは、ドキっとして
小さく息を吸った。

そして絡められる指・・・

見つめ合う瞳には、
お互いしか映らない。

「セルヴァン・・・すっ」
告白しようとした唇を
彼の唇が塞いだ

触れ合うそれは柔らかく
・・・そして・・・優しく甘い

でも、それはすぐに離れた
喪失感に心が戸惑う・・・
「その先は、俺が言う
 ・・・でも、それはお前に狩られた時だ」

・・・甘い・・・約束・・・
心を覗けばいつでも
彼の気持ちがわかるあたしに・・・
それはもう不要な告白かもしれない。

でも・・・彼がそう望むなら
・・・未来の王がそう望むなら

「ちゃんと狩られなさいよね」
彼を信じて待つことにしよう。
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