別冊 当て馬ならし
私は、食事をしたロフトから
繋がるベランダで
少し涼みながら
なんとなく振りの確認をしていた。

そこへ
「あのー・・・・」
遠慮がちに声をかけてきたのは
レヒューラだった。

小柄で可愛い素直な娘
でも、ラルに継ぐ
天才的な魔術の才能の持ち主。
彼女とアル王子の未来を私はみてる。

そういえば、彼女はワルツの稽古
してないんじゃないのかしら?
「あ、レヒューラさん、
 どうしました?」
「えっと、『さん』なんてとんでもなく
 ・・・わたしこそクラァス様と
 お呼びしなきゃいけないぐらい
 すごい方ですし・・・」

一生懸命言葉を紡いで
意図を伝えようとしてくれる。
頭はいいけど緊張すると
コミュニケーションがおぼつか無くなる
という感じなのかしら、

「うん、わかったじゃ、
 レヒューラ、私も様いらないわよ。」
そういって笑う、
それにつられてレヒューラも笑った

「でも、命の恩人ですし
 「さん」はつけさせてください、
 クラァスさん」
その真面目さがアル王子と重なって
なんだか面白かった。

マジメ太陽カップル◎
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