別冊 当て馬ならし
「お?ここにいた」
そう言って現れたのは、
当のご本人アル王子だった。

キャンという
子犬みたいな悲鳴を上げて
私の後ろに隠れようとする
レヒューラの腕を
私は強引にとって
隠れさせないようにする。

「ワルツの復習をしてました。
 ねー?」
「うう・・・ねーです・・・」
そんなレヒューラを見て
目がなくなるんじゃないかって
くらいに笑顔の王子

「今日は、思う存分レヒューラと
 踊ってくださいね。」
そういうとアル王子は優しく頷く
そして私の目をしっかり見て

「ラルをお願いします」

そういって頭を下げられる
今度は私があたふたする番だ!
「え???いえいえ、
 えっと私の方が
 お願いしますって
 感じなんですけど・・・」
そういうとアル王子は静かに言う
「あいつは、いつも冷静な風ですが
 ・・・一回スイッチが入ると
 歯止めがきかないタイプです。」
それは・・・わかる・・・
思い込むと思考が
止まってしまう事がある。

先の事件で自分を追いつめてた。
過去の事件の時も
そうだったのかもしれない。
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