別冊 当て馬ならし
「あいつ・・・何話してんだよ・・・」
そう耳元で呟くラルの声は
かすれすぎてて、
すごく照れてるのが分かった

顔を見たくて振り向こうとしたとき
強く首筋を吸われ、
体が痺れるみたいに熱くなって
動けなくなる
「今・・・見んなよ・・・」
吐息が背筋にかかってゾクゾクする

そのまま、私を抱きかかえたまま
ベランダにある椅子に座る。
私はラルに抱っこされてるような形になる

腰にしっかりと巻き付いた腕
首筋にかかる息

いつから聞いてたんだろう、
こんなに照れてるって事は、
もしかしたら『俺のモノ宣言』
ぐらいかな。

可愛いなぁって思って
ラルの成すがままになってあげる

そして、今日一日で聞いた、
ラルが私に対して
どれだけの想いを注いでくれていたのか
を思い出して
胸がジーンと熱くなる
ラルの腕にそっと自分の腕も重ねて

「ありがとう」

そう呟く
そうすると、きゅっと腕がしまる。
< 20 / 122 >

この作品をシェア

pagetop