別冊 当て馬ならし
笑いながら彼は、
観念したように優しく伝えてくる
「あのな・・・
 俺以外に見せんなって事、
 ここまでは仕方ないけど・・」
そういって、背中を支えてる手で
肩甲骨の辺りをこちょこちょする
「きゃ・・・」
くすぐったくてもじもじする
「でも、それ以上は
 ・・・許可しない。」
まるで呪文を打ち消すように彼は言う
だから最後の抵抗をしてみる。
「えーでも減るもんじゃないよ」
そういうと最大に甘く
最高の呪文が唱えられた

「すり減るの、俺の心が」

あぁ・・・ラルが・・・・
大好きな人が私を独占したいって
思ってくれるのって
こんなに心地いいのかぁ
甘く痺れる魔法がかかる。
私を虜にして離れない・・・・

ダンスホールから
ワルツが聞こえ始める
音合わせ最終調整だ・・・
もうすぐ降りて行かなきゃいけない・・・
きっと、ラルは私に
魔法をかけたように
踊らしてくれるはずだ
それがわかり切ってるから
今は、あと少しこうして

私の大好きな大好きな
偉大な魔法使いの王子様の愛に
包まれている事にする。

唇が何度も重なり
甘く熱く想いを囁き合う
囁きを繰り返して高まっていく・・・

ラル・・・愛してる。

夜の闇に吸い込まれていく
私たちの想い

どこまでもどこまでも
遠くまで響いていく。
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