別冊 当て馬ならし
あたしは、しゃがんだまま
擦り傷がカサブタになった
ばかりって感じの
小麦色の膝小僧を見ながらしゃべる。

「おねぇちゃんは怒られなくて
 ・・・ずるい」
「なんだそれ?」
いみがわからないといった風で
セルヴァンは頭の後ろに腕を組む

事の経緯を伝えると
「おまえ子供だなぁ」
とまるでとってつけてきたみたいな、
だれかの受け売りって感じの
言葉が降ってくる

「はぁ?子供ですけど?
 ていうかあんただって子供じゃない!」
気に障って口が尖がる。
「俺は店の手伝いして
 いっつも怒られてるぞ。
 怒ってもらえるのは・・・
 えっと・・・成長するために
 必要なんだぞ」
あー絶対これ最近言われたんだ
ってわかる。
「で、怒ってもらって成長してる俺は
 お前より大人だ」
そう言って胸をはる。
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