別冊 当て馬ならし
あわてて駆けつけたセルヴァンが
覗き込む。

セルヴァンの顔も歪んで
鼻の奥がじわーんってして
顔がぐしゃぐしゃーってなる
「足うった
 ・・・痛い・・・ッ
 ううう・・
 せヴぇぇぇぇぇぇええええん・・・・・」
「名前と泣き声混ぜんなよー」

そういって私に背中をむける

「ほれ」
おぶってやるよというしぐさをする。

同い年のくせに、
その背中は大きく見えて
暮れていく夕日の中で
その背中がとても暖かそうに見えた。

だから、そのまま素直に背に乗る
ひょいっと持ち上げて
荷物でも運んでるように軽々と
セルヴァンは歩いていく
「重くない?」
泣き声で問う・・・
「大人な俺には、訳ないね」
とあっけらかんと言った。

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