別冊 当て馬ならし
「よしよし・・・
 クゥねぇ今日、旅だったんだろう?」
そう言われて鼻の奥がじわーんてする。
髪の毛とかぐしゃぐしゃで、
幼馴染に頭をぐらぐらさせられて

・・・だったら、もうしかたないよね
・・・感情のタガを外したって
仕方ないって言い訳ができる・・・

「ううう・・・セッ
 ・・・うぇぇぇ・・・」
やっと目の前が滲んで涙が出てきた。
そしたら止まらなくなって
もう、泣き出す。
「はは、泣くの優先な」
そういって乱れた髪を
職人の手で器用に梳いてくれる
その優しさに
やっと甘えて肩にコツンと頭を置く。
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