別冊 当て馬ならし
思い出す・・・
公務が嫌で泣きながら
連れて行かれることもあった。

代わってあげたいって
思いが覗いた心からにじみ出ててた。

でもおねぇちゃんはにっこり笑って
見送ってくれた。

それで、帰ってきたら
おかえりって抱きしめてくれた。
おねぇちゃんだって
一人で淋しかったのに・・・・
「あぁ・・・そっか・・・
 今感じてる事、おねぇちゃんは
 ずっと前に感じて
 それで、もう先に進んでたんだよね。」
「そうだ、クゥねぇの進み方で
 クゥねぇの物語は進行中ってわけだ」
「あたしは・・・あたしの物語を
 進めなきゃだよね。
 そんで成長して
 おねぇちゃんが幸せになった時に
 『お幸せに』って
 抱きしめてあげられる私になる。」
セルヴァンの手が優しく
あたしの頭をなでる。
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