別冊 当て馬ならし
丘をわたっていく風に髪をなびかせて
汗が浮いたたくましい腕を
乾かしながら
セルヴァンは胡坐をかく。

おいしそうに食べる彼を
じっとみてるだけで、
日々大変な事が
何でもないって思えちゃう

黄土色の麻のシャツは
ところどころ汚れたりしてるけど、
それさえも仕事に誇りをもつ
彼の勲章のようで素敵に思える。

それが眩しくて目を細める

「ごちそうさま」
大きな手を
しっかり合わせてお辞儀

ぺろりと食べ終えて
満足顔でニカっと笑う。

あたしの気持ちに
セルヴァンは
気が付いているだろうか・・・

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