別冊 当て馬ならし
「今年は、セルヴァンが同行する」
おねぇちゃんが
ピコランダへ旅立ってから
一つ席が空いちゃって
なんとなく淋しい夕食の席。

前菜の皿が並んだ時だった。
一瞬、何のことだ?と
おもったけどすぐに思い当った。
みるみる嬉しくなって
「ほんと!!!」とはしゃいだ声が
いつもより大きく響いた。
「こらこら、水がこぼれるわよ」
今にも立ち上がらんばかりのあたしを
お母さんが制する。

ペロっと舌を出して落ち着いて、
そのこぼれそうな水を
一気にあおる。

だってその公務にあたしも
同行する予定だったから。
つまり、行き道1日
中1日・帰り道1日
ずっとセルヴァンといられるのだ。
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