別冊 当て馬ならし
こんなに嬉しいことはない♪
落ち着いて、席を立って、
十分周りに注意してから
お父さんに抱きつく。

「あらら、随分素直ねぇ。
幼馴染と一緒がとても嬉しいのね」
そう言うおかあさんは
すこし、あたしをからかう様に言う
「そうよ!知らない土地に同い年の人が
 付いてきてくれるって嬉しいの」
そう言ってわざと
ぷくっと膨れてみせる。

お父さんもお母さんも
もちろんあたしの気持ちは
知っている。

最近は、いろいろ考えちゃって、
あまりセルヴァンの事で
反応しないように
してたのは確かだけど・・・
やっぱり好きな人と
一緒に居られるのは嬉しい。

けど・・・きっと
竜を狩るのは・・・
その決断をするのは、
もっと先の話だから・・・

自分でそう思い込むことで・・・
今はこの嬉しさにひたる。
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