別冊 当て馬ならし
と、お父さんはわざと
厳しい態の咳払いをして

「あくまでも公務であるし、
 他国ではファルゴアの
 ようにはできないぞ」
片目の眉を吊り上げる
それが何を意味しているかは分かった。

王女と鍛冶屋の息子という事で
身分の差が他国では発生する。

父とオーガイルのように
元々の知り合いであれば、
それは違うのかもしれないけど
あたしとセルヴァンは
他国の常識ではそうなるだろう。

「わかってるわ。でも・・・嬉しいの」
席に戻って食事を再開する。

最近もやはり忙しくて、
おねぇちゃんが旅立ったあと、
お弁当を作って以来
セルヴァンとはあえていない。
そんな想いがあふれ出て
ついついお父さんには
素直な気持ちがでてしまった。
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