別冊 当て馬ならし
翌朝・・・目覚めは最悪。
でも、公務は公務。
一国の王女として
父と一緒に他国へ失礼が無いように
振る舞う。

今年も父はしっかりと
最強伝説を更新している事を
見せつけた。

城にいて見送る人々は
みな好意的で、来年も
お待ちしておりますと、
心から言ってくれた。

それはちゃんと確認済である。
母が居ない時、
不穏な芽が育っていないか
確認するもの公務の内だ。

馬車に乗り込む前に
父に目線でその事を伝える。
父は満足そうにうなずいて、
この国を後にした。

そして・・・帰路も相変わらず
セルヴァンとは会話もない。
あたし自身がもう、
馬車から出たくなかった。

顔を見ると泣いてしまいそうだった。
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