別冊 当て馬ならし
兵たちは、セルヴァンにあたしを任せて
目の前の任務に集中してるようだ、
馬車周りに数人は残っているけど
倒木に注目していた。

せっかくセルヴァンと
話できるチャンスなのに・・・
なんであたしは、
こんな風に片意地はってるの?

突然掴まれた手首が
ぐいっと引き戻される

「俺は命令なくても守るっつーの」
片腕で引き寄せられて、
彼の胸の中に
いとも簡単に納まる自分。
嬉しくて嬉しくて
あたしから抱きつきたいのに

・・・さっきまでの自分が
いつまでも心の片隅で
後ろ向きな気持ちを引きずって、
体が硬くなる

顔も見れないし・・・

彼は、それを
どう受け止めたんだろう・・・

抱き寄せた手が頭を撫でた。

・・・ああ・・・セルヴァンは
あたしの態度がおかしいのは
分かったうえで、
かわらず優しくしてくれてるんだ・・・
いつもみたいに『何した?』って
今は言えないから・・・
こうやって撫でてくれる。

・・・好きだ・・・
どうしたらいいんだろう・・・

そんな葛藤とあたしが戦っていた時
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