別冊 当て馬ならし
セルヴァンは背負っていた
巨大な鎚を構え、
飛んできた一匹を叩き落とす。

馬車の護衛にあたっていた
兵士たちも応戦に入る
魔物自体は強くなく、
あっけなく倒されていくが
何せ数が半端でない。

「セルヴァン!
姫を頼む!
 逃げ切れ!!!!」
そういって、兵士は
あたしたちの盾になる。

・・・またここでも・・・
あたしが足手まといだ・・・
セルヴァンはあたしを
荷物を担ぐように肩に乗せる。

「じゃべんなよ、舌噛むからな」
そういって一気に駆け出した。

あたしは、戦う兵士の脇から
すり抜けた魔物があたしたちを
わらわらと追いかけてくる
さまを見ていた。

揺れる視界、
セルヴァンの獣のような全力疾走
あたしは、ただ、荷物のように
必死にセルヴァンの肩に
引っかかる事しかできなかった。
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