別冊 当て馬ならし
緑の巨体が息も荒く
大きな拳でセルヴァンに
掴み掛ろうとしていた。

あたしは、なんとか呼び出したマナで
白い鷹の形をした幻影を作り出す。

緑の魔物の目に向けて
それを飛ばす。

突然現れた目隠しに翻弄されて、
それはバランスを崩した。
その隙を見逃さずセルヴァンは
崩した軸足の膝を鎚で掬う。

巨体がズシィイインと
低い音を立てて倒れる。

セルヴァンは攻撃を畳み掛ける。
豪雨のような鎚の連打に
緑の魔物は大きく悲鳴を上げて
霧散した。

< 93 / 122 >

この作品をシェア

pagetop