別冊 当て馬ならし
「ふ――――」
セルヴァンは大きくため息をついて
額に浮いた汗をぬぐった。

あたしを抱えて森を全力疾走した後の
戦闘はきっと彼の体力をかなり
奪ったろうと心配で見つめると、
相変わらずの笑顔に・・・・

結局はあたしの緊張がとけて、
岩の壁に背を預け
ずるずると腰をおろしただけだった。
「結構、・・・奥まで
 ・・・きた・・・わね・・・」
緊張から上がる息と、
魔力を使った事による精神のつかれもあり
言葉が続かない。
さっきまで勝手に
わだかまっていたあたしは、
なんとかこれを気に
会話をしようと勢い込んだのに、
結果は残念極まりない。
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