別冊 当て馬ならし
森は静かだった。
ただ・・・差し込む木漏れ日の輪郭が
少しづつ赤味をまして・・・
日が暮れようとしているのが分かった。

戦闘が終わって・・・息が落ち着くと
背中にあたる岩が
急に冷たく感じられる。

だいぶ走ったけど・・・
きっとお父さんたちも
戦闘が終わってるのかもしれない。

もうすぐあたしたちの、
正確にはセルヴァンのモノだけど
・・・その足跡を追って
兵士たちがやってくるかもしれない。

隣の大きな幼馴染は
さっきから黙ってあたしの回復を
待ってくれてるのだろう・・・

あたしは・・・というと・・・

隣に感じるそのたくましい腕や、
あたしを気遣い、
さらに森に注意を向ける息使いを
全身で感じて・・・
この人が居ないと自分はもう存在できない
というぐらい・・・気持ちの中が
好きであふれかえっていた。
< 96 / 122 >

この作品をシェア

pagetop