甘い唇は何を囁くか
シスカの腕の中だと、どんなことも怖くない。

この腕の中だけは安全。

何も心配なことはないって思える。

いつの間に、こんなに好きになってしまっていたんだろう。

もう、日本のこととか、私のこれからの人生のこととかもどうだって良くなる。

今、この瞬間シスカと一緒にいられて、シスカに抱いてもらえれば―。

もう、いっかってー。

「そっか。」

遼子は答えて、シスカを抱きしめた。

「そっかって、そんだけ?もうちょい驚きはないわけ?」

シスカの身体を離さないように、しっかり抱きついたまま答える。

「別に。何となく普通じゃないような気はしてたし…。」

「何だよ・・・あんた、本当に俺には可愛くないね。」

「だから、別にあなたに可愛いって言ってもらわなくて良いし。」

私は、シスカがいれば―。

そう思って、シスカを見つめる。

シスカもそれだけで察したみたいで、私と見つめ合ったあと、優しいキスを額に落とした。

「んで、おっさんさぁ、さっきのどうすんの?」

そうだ―。

それだった。

「いや…遼子の意志を尊重したい。」

「シスカ…。」

「はいはい、いちゃいちゃは置いといて。よぉ、んじゃあんたはどうしたいわけ?」
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