甘い唇は何を囁くか
殺されるってよりも、殺されたって感覚の方が強かった。

まぁ、人間ならさっきのあれで首もげてておかしくないだろうけど。

しかし、笑える。

宗眞は、怒りに震えるシスカを見遣って苦笑した。

「そんなに大事かぁ。」

当然だろう、そう言うこともなく、憎しみに満ちた目で俺を見る。

とはいえ、そっちにとっては大事な運命の女でも、俺にとっちゃただの人間。

ただの餌だ。

他の女と別に何も変わらない。

「ま、結構旨かったけど。」

そうオチをつけて呟く。

シスカの碧眼が紅蓮に燃え上がる。

まぁた、飛び掛ってこられないとも限らない。

その危険を感じて言った。

「STOP、俺を殺すとあいつをヴァンプに変えられないぜ?」

シスカの動きがピタリと止まる。

そうそう、それで良いんだよ。

やっばいオッサンだね。

「ま、実際、遼子もよがってたしさ!」

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