甘い唇は何を囁くか
…身体が、痛い。

まるで、すごい重労働をした後か、激しいスポーツをした後みたい。

身体が、重くて…だるくて、仕方ない。

何で…?

何でだったっけ……。

遼子は、ゆっくりと目蓋を開いた。

見覚えのない天井。

それから、僅かに身体を起こす。

と、部屋の入り口付近に立つ男の姿が目に入って、きゃっ!と小さく悲鳴を上げた。

真っ裸で、腕を組んでこちらを見ている…宗眞だ。

「何て格好してんのよ!」

服着なさいよ、と言って自分の姿に目がいった。

私も…裸だ。

あ、そうか…そうだ…そうだった。。

私、…宗眞と…。

「大丈夫か?」

その言葉にハッとなる。

いつの間にか、宗眞が目の前にいて、顔を覗いている。

「い、…いやっ!」

思わず、口ばしって顔を反らした。

ズキン

痛…

顔を反らしただけなのに、身体を鈍い痛みが奔る。

宗眞はそれに気付いているみたいで、困ったみたいに微笑んで言った。

「風呂、用意できてるから入れば?」

…身体が、震える。

宗眞の声、宗眞の身体…私、何をしたのか、はっきり覚えてる。

シスカじゃないと、シスカしかいらないって、あんなに思ってたのに…。

どうしてーーー。

「…ふ…う…ぅ…」

何で、あんなに…。

涙が溢れ出して、遼子は口を押さえた。


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