甘い唇は何を囁くか
第15章 「Oneself」
シスカに逢いたい。

シスカの声が聞きたい。

シスカの傍で、永遠の時間を刻みたい。

なのに、熱が出て、意識が朦朧としてくるまでの2日間・・・シスカは私のところに来なかった。

それは、私が犯した罪を非難されているようで・・・どうしようもなく哀しくなる。

もう戻れないんじゃないのか。

もう、受け入れてはくれないんじゃないのか。

宗眞の腕の中で、不覚にも感じてしまった自分を取り消すことはできない。

きっと―きっと、シスカも・・・シスカまで傷つけてしまったんだ。

シスカは知ってる。

私が、宗眞に、どんなふうに・・・抱かれていたか。

泣きながら、ベッドの中で魘される。

それを見下ろす視線を感じて、目を開けた。

紅い目が、覗いている。

それが、自分の望んだ瞳の色ではなくて、余計に哀しくなって目を逸らした。

「早かったな、もう結構まわってる?」

軽い口調で言われて、ぜいぜいと息を上げる。

知らないわよ。

そんなの・・・こんなにしんどくなるなんて聞いてない。


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