甘い唇は何を囁くか
何て、綺麗な人だろう。

髪の色は、見たこともないようなシルバー。

何の混ざりっけもない、銀色の髪に、その目は碧の瞳・・・吸い込まれてしまいそうだ。

遼子は息を呑んで、そして立ち上がった。

すいと、身軽で驚いた。

それに、腕も足も、ずいぶんとスラリと長く見える。

これまでの元祖日本人体型な自分とは、全く違う・・・ような。

気のせいかと落ち着かせて、その人に視線を戻した。

何だろう。

・・・何故か、・・・胸がざわつく。

「遼子・・・。」

その人の口から、自分の名が出て、なお更驚いた。

何故、私の名前を知ってるの・・・?

そう思うと、頭が痛んだ。

思わずこめかみを押さえて眉をしかめる。

視線をずらすと、窓際の壁にもたれかかった黒髪の男が目に入った。

その顔は、見たこともない。

遼子は青褪めて言った。

「・・・あなた、誰・・・?」

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