甘い唇は何を囁くか
「何にもしてねぇよ、逆上してんなよな、おっさん。」

面白そうに、笑いを唇の端に堪えて言う。

「いきがるなよ、こぞう。お前の首をこのままへし折ることぐらい容易いのだからな。」

シスカは震えて囁くように言った。

「や、やめてください!」

その声にハッとしてシスカは手を離した。

振り返ると、遼子が立ってこちらを見ている。

「け、警察呼びますよ?」

シスカは落胆して、目を伏せた。


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