甘い唇は何を囁くか

なるほど・・・ね。

「じゃあ・・・俺にもまだチャンスはあるってわけだ。」

・・・無言のままシスカが振り向く。

「あんたと俺、遼子がどっちを選ぶか、まだ分かんねぇって、ことだろ?」

「・・・もう一度言ってみろ。」

にまりと笑って言う。

「いいぜ・・・?何度でも言ってやるよ。」

俺たちを見て、青い顔をしている遼子に視線を移す。

顔も知らないでっかい男ふたりが、いきなり自分の部屋で訳分かんねぇ会話を繰り広げてるんだから、その顔は当然だ。

けど、そんなこたぁおかまいなしだ。

背筋を駆け上がるおっさんの殺意は、置いといて宗眞はにまりと微笑んで言った。

「俺は、あんたが好きだ。あんたが欲しい。」
< 207 / 280 >

この作品をシェア

pagetop