甘い唇は何を囁くか
「遼子…」

ズキン

身体の中で、心の奥が痛んだ。

けど、頭を振って言い訳して言った。

「あなたも誰ですか?」

知ってる…ような気もする。

私に近くて、けど遠い人。

ありえないー。

ありえるわけがない。

私はただの日本人で、どこにでもいる顔した三十路の女。

こんなーー。

こんな綺麗な男の人たちと、知り合いになることなんか。。

お母さんが知ったら、卒倒しちゃうよ。

なのにーー


「俺は遼子が好きだ。」

紅い目が、真っ直ぐ射抜くように私を見つめて言った。

信じられない。

同時に、顔が熱くなる。

「え…え…そんな…えっと…」

やーだ、もうこんな告白されるの何年ぶり?

しかもこんなイケメンから…!
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