甘い唇は何を囁くか
そうは言いながらも、顔が紅くなっているような気がして、たまらず俯いた。

何が起こっているんだろう。

どうして、こんな真夜中にこんなイケメン外国人がこんなところにいるのか、理解できない。

そもそも不法侵入だっていうのに、ドキドキしてるのはやはり顔だろうか。。

だとしたら、私ってやつは単純すぎる。

いやいや。

遼子は頭を振って、自分を律した。

「とにかく、出て行ってください。」

銀色の彼は愕然として青褪めて、赤い目の人は肩をくいと上げて困ったみたいに微笑する。

「本当に・・警察、呼びますよ?」

そう言うと、声が震えたのが分かった。

「そうは言っても、俺らにドキとかしてんだろ?」

宗眞は笑いつつ遼子の顔を見遣った。

泣きそうに、怖そうに、震えているのは人間だった頃と変わらない。

そういう小動物的なところに、ますます欲情を煽られる。

きっと、このおっさんもそうだろうな。

そう思って、やや前方向に立ち尽くすシスカに視線を移した。

「遼子が、目覚めるまでに・・・2・3日はかかるかな。」

誰に言うでもなく、呟いてみる。





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