甘い唇は何を囁くか
第16章 「Blood…」
帰り支度をはじめて、2日目の昼頃。

遼子はあの夜から消せない喉の渇きに耐えていた。

何なのこれはーー。

お腹が空いてる、けど、何も食べたくない。

喉が渇いている、けど、何も飲みたくない。

自分が何を求めているのかわからない。

分からないから、それを探してフラフラと歩いていた。

昼間は、やはり人の姿は多い。

すれ違う人の隣に、甘い香りが漂うと、痺れるような喉の痛みを感じる。

わけも分からず、喉を摩った。

病院…に、行かなければならないだろうか…?

何か、悪いものを食べてしまったのかもしれない。

足取りも重くなる。

遼子はため息を深くついて、足を止めた。
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