甘い唇は何を囁くか
大柄の男が二人、自分の身体を押さえ込む。

悲鳴をあげようにも、口は大きな手で息も苦しいほどしっかりとふさがれて、
がっちりと両腕を絡めとられれば抗いようもない。

それでも、懸命に恐怖心と戦いながらもがいて呻いてを繰り返す。

神にも縋る思いで祈り、助けを乞いつつ。

「早くしろよ。」

臭い息を吐いて、男が言う。

「待てって。」

男は遼子のスカートの中、ふとももをぞろりと撫でた。

「見ろよ、この白い肌。」

寒いぼがぞわぞわっと音をたてて立つのがわかる。

冗談じゃない―。

「うんん―っむむっ!」

「大人しくしろよ。」

何が興奮するのか、男たちの息は荒い。

本当に、もう駄目だ―。

涙ぐんで、押さえつけられた強張った凍えるような冷たい指先を解いた。
< 31 / 280 >

この作品をシェア

pagetop