甘い唇は何を囁くか
というか…。
私、こっちに来てからもしかして惚れっぽくなってるの…?
いや、決して惚れたわけじゃないけど…。
節操のない女だと思われるのは、絶対に嫌だし。
そのあたりはプライドを持って生きたい。
「おい。」
遼子はハッとして頷いた。
「あ、うんうん。何?」
男はいつの間にか煙草なんかくわえている。
何よ、ずいぶんセクシーじゃないの。
「おたくさ、失恋して日本飛び出してきたクチだろ?」
ぎくり
思わず硬直して笑顔を顔面で固定する。
「分かりやすすぎ。どうせ、ひと夏のアバンチュールとかってこっちに男漁りに来たんだろ?」
そう言ってそっぽを向いて煙を吐く。
そうですよ。
確かに、ひと夏の、いやひと冬のアバンチュールもありか、なんて思いましたよ。
思いましたけど、それが何か?
別に、誰でも良いからってヤりまくってるわけでもないし、自分を安売りするつもりもない。
責められるような悪い事、何一つやっていない。
「いるんだよな、そういう女。何?もしかして失恋旅行とか?女ひとりでこっちに来たんだ?」
「あ、あの!」
駄目だ、この人嫌な人だ!
「私、用事あるんで。」
どうも失礼しました、そう言って頭をペコっと下げて背を向ける。
傷口をぐりぐり抉られて塩を塗りたくられてるみたいだ。
何よ、こっちの男の人は紳士なんじゃなかったの?
馬鹿みたいにレディーファーストで優しくって甘いんじゃないの?
この前から、カッコいいなと思う男の人といえば、みんな一癖も二癖もありそうなのばっかり―。
苛立って財布も持っていないまま、ホテルを出る。
幸い、まだ日は高い。
ちょっとふらついて様子を見て戻ろう…。
もうっ、何で私がこんなことをしなくちゃならないのよ…ふんだりけったりもいいところなんですけどっ!
私、こっちに来てからもしかして惚れっぽくなってるの…?
いや、決して惚れたわけじゃないけど…。
節操のない女だと思われるのは、絶対に嫌だし。
そのあたりはプライドを持って生きたい。
「おい。」
遼子はハッとして頷いた。
「あ、うんうん。何?」
男はいつの間にか煙草なんかくわえている。
何よ、ずいぶんセクシーじゃないの。
「おたくさ、失恋して日本飛び出してきたクチだろ?」
ぎくり
思わず硬直して笑顔を顔面で固定する。
「分かりやすすぎ。どうせ、ひと夏のアバンチュールとかってこっちに男漁りに来たんだろ?」
そう言ってそっぽを向いて煙を吐く。
そうですよ。
確かに、ひと夏の、いやひと冬のアバンチュールもありか、なんて思いましたよ。
思いましたけど、それが何か?
別に、誰でも良いからってヤりまくってるわけでもないし、自分を安売りするつもりもない。
責められるような悪い事、何一つやっていない。
「いるんだよな、そういう女。何?もしかして失恋旅行とか?女ひとりでこっちに来たんだ?」
「あ、あの!」
駄目だ、この人嫌な人だ!
「私、用事あるんで。」
どうも失礼しました、そう言って頭をペコっと下げて背を向ける。
傷口をぐりぐり抉られて塩を塗りたくられてるみたいだ。
何よ、こっちの男の人は紳士なんじゃなかったの?
馬鹿みたいにレディーファーストで優しくって甘いんじゃないの?
この前から、カッコいいなと思う男の人といえば、みんな一癖も二癖もありそうなのばっかり―。
苛立って財布も持っていないまま、ホテルを出る。
幸い、まだ日は高い。
ちょっとふらついて様子を見て戻ろう…。
もうっ、何で私がこんなことをしなくちゃならないのよ…ふんだりけったりもいいところなんですけどっ!