甘い唇は何を囁くか
何が言いたいのだ…。

歯がゆい気持ちで去りゆく人間の男の背を睨んだ。

俺はあんな人間の女の事など、どうでもいいんだ。

わざわざ、追いかけてきてまで…言うことか…?

ああ…苛々する。

あの女だ。

あの女が、ヴァンパイアであるこの俺を苛立たせているのだ。

だったらー

食事にして、あんな女食い捨ててしまえばいい…。

シスカは、そうだ、と1人呟いた。

俺はヴァンパイア…。

人間と、相容れることなどない。

ましてやーー、人間を愛するなど…。
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