甘い唇は何を囁くか
真紅の薔薇を思わせる濃厚な赤い瞳は、どう考えても人工物にしか思えない。

あまりに綺麗すぎて、きっと気味悪がられることだってありそうなほどだ。

ついでに気になっていたことを勢いに乗って聞いたけど、宗眞はふいに視線を伏せた。

あれ…?

聞いちゃいけなかったのかしらー、そう思った次の瞬間には顔を上げてあっけらかんと答えた。

「そうそう、決まってんじゃん。な、それよりあいつ探しに行かないのか?」

「探しにぃ?」

「だって、もしかすると土壇場で拒否られて傷ついたのはあっちかもしんないだろ?」

確かにーーそれは、一理あるかもしれない。

けど、こっちから行くということは彼を受け入れるってことで…。

「あーっ、ウジウジしてんなよ!ちっとは本能で動けないのか?!」

「あのねぇ、本能で動いて良いのは動物だけなの、私たち人間には理性ってもんがあるわけ、分かる?」

宗眞はソーダの入ったグラスを手にストローをイジイジ噛みながら答えた。

「人間だって動物だろー。」

「屁理屈は良いから。」

私だって、何も考えてないわけじゃない。

男の人じゃなくたって、イヤラシイ妄想だってするし…彼を知りたい気持ちはある。

けど、まんがいちこっちで彼と一夜の思い出を作ったとして…銀髪碧眼のハーフの子供ができたらどうしたら良いの…?

そりゃ片親なんて、世の中にはわんさかといるし、今時シングルマザーなんか珍しくもないけど…親には何て説明する?

あの人の子供だとかなり特徴的な美々しい見た目になりそうだし…そうは言っても私の遺伝子が頑張る可能性はあるけど…。

バカみたいだけど、いろいろ考えてしまう。。
< 76 / 280 >

この作品をシェア

pagetop