secret act Ⅱ
この穏やかな空気に組本家というのを忘れていた。
「失礼します。皆さんおそろいになりました」
廊下からのその声でこれからのことを思い出し
部屋には少し緊張感が戻った。
「ふむ。
先に会えてよかった、また後でゆっくり話そう。
先に行っとるぞ」
そう耀さんが言い向きを変えるとそれに続いて私達以外は部屋を出ていく。
その後ろ姿を翔貴さんと並んで見ていた。
誰もいなくなっても動かない翔貴さん。
私はどうしたらいいのか....
翔貴さんを見上げると、同じタイミングで翔貴さんも私を見た。
「───裕美。本来なら組長、若頭共にと言いたいところだが、揃ってないところもある。
だが、それでも組長だけは揃っていて、30名近くいるだろう」
目を見て頷く。
「なかには...あまりいいように思ってない奴らもいるだろう...」
ここに来る前に何かあったのか苦々しい顔をして言った。
まぁ、自分の保身や昇格の為に自分の娘をって思っている人がいてもおかしくないよね...
そんな事を考えていたら、翔貴さんは表情を変え確かめるように言った。
「裕美───....いいな」
それはいろんな意味が込められていた。
あいつの事...
この世界に足を踏み入れること...
今までとは変わること...
私の返事は決まってる。
『はい』
目を見てそう答えた。
翔貴さんはそれを見て小さく頷き2人で足を踏み出した。