secret act Ⅱ
大広間の前に着いた。
本当に30人近くいるのか不思議なくらい静か....
翔貴さんがスーっと障子をあけると、一斉に視線が向けられた。
翔貴さんが先に入り、その後ろに続いて入る。
上座には椿さん、耀さん、飛翔さん、優菜さんの順に座っていてその脇に優輝がいる。
耀さんと飛翔さんの間が空いていてそこに私たちは座った。
朔と美空は......いた。
目立たない下座の隅にいた。
「今日は急だが翔貴の婚約者の御披露目で集まってもらった。」
飛翔さんの挨拶から始まり、翔貴さんに紹介され挨拶をした後は向かい合っている同盟傘下の人達の表情を見ていた。
さすが組長、若頭なだけあって表情はあまり変わらない。
でも、表情は変わらなくても私に向ける視線で
納得している者、してない者ぐらい分かる。
明らかに《お前は邪魔だ》っと憮然としてる人もいる。
そうやって1人1人の表情を確かめているとピクっと体が揺れた。
──────何.....この視線...どこから...?
さっきの繁華街での視線とも違う...
良悪どちらの視線でもない。
無機質な視線.....
もう一度ゆっくりと見渡す。
障子は閉まっているからこの部屋にいる人のはずなのに、わからない。
探してる間も視線もなくならない。
良悪どちらかの視線だとまだその人の感情がわかるからいい。
でも、この視線は.....
背筋がゾクッとした。