僕の行方
「ハイ、捕まえた。」
呉汰はいきなり、左腕をごっつい男につかまれた。
「へ?」
それと同時に消防車がやってきた。
消防士の人たちが火を消し始めた。
「先輩、犯人捕まえました。」
ごっつい男は呉汰の腕をつかんだまま、消防士に敬礼し言った。
「ちょ…犯人じゃないです」
「呉汰!!」
呉汰の名を呼ぶ、祖父、流汰。
「え?お前、呉汰??」
「ハァ?」
ごっつい男は呉汰のことを知っている風だった。
「よく来たね。」
家が燃えているのを横で優しく微笑む祖母、望。
「婆さん。家が燃えているよ。」
今頃、気付いた祖父母。
「っーか、離して下さい。
俺、今来たばかりで、火事にびっくりしてた所なんですけど…」
ちょいキレぎみに呉汰はごっつい男に言った。
「わぁ~そうなんだ!!
ごめん、ごめん。」
あっさり手を離したごっつい男。
火は少し時間がかかったが…全てを消してもらった。
が、祖父母宅は跡形もなくなっていた。