僕の行方
呉汰はイチャつく朗君と初花ちゃんを見ていられなくなって散歩に出かけた。

呉汰はトボトボ歩いていた。
「オッ、呉汰」
呉汰に声をかけた人物は、
「父さん」
父 向汰だった。

いつもスーツ姿だった父 向汰。
今は長袖シャツに短パンだ。

「呉汰も来てたんだな。
 おじいちゃん家大変だったみたいだな」
父 向汰は呉汰の目を見て話はしない。
「大変だったよ、俺犯人扱い。
 朗君のバカやろう」
ただ報告しただけだったのに。
犯人扱いされたことを思い出しムカムカしてきた呉汰。
そんな呉汰を横目にニコッと笑う父 向汰。

「何で、目を見て話さないの?」
呉汰は少し、怒る。
「あ…呉汰には申し訳なくってさ。 
 借金して、家も出なくちゃいけなくなって。
 家のほとんどのものを売っちゃって。
 呉汰の大切なものも黙って…。
 ごめんな」
父 向汰は呉汰に謝った。


「何で借金なんてしたんだよ」
「…友だちの借金を肩代わりしたんだ…」

父 向汰はお人よしだ。
そして、イエスマンだ。
『はい』しか言えない。
後で後悔しようともはいと言ってしまうのだ。


だから、父 向汰らしい借金の仕方だった。
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