七つ星 72時間の儚き思い
優人 27歳

ジジジー

「あぁ、かったるい」

俺は耳元で馬鹿でかくなる携帯に目をやる

- 19:00 -

夜勤に向かう為にだるい体を

ベッドから引きずり下ろす。


「また仕事ぉー?休めばいいのにぃ」

上半身裸の肌の白い
甘ったるい香りを漂わせる金髪の〝個体〟

「あぁ。」

(誰だコイツ・・・)

脱衣所に向かう

今日は飯は松屋やめてうどんでも食べよう

胃のそこがむかむかする

なにか個体が住み着いてるような・・・


シャワーから浴びると

饒舌で話しかけてくる個体

「まゆも一緒に新宿いくぅー」

化け物みたいな顔に器用に塗だくっていく

びしょ濡れの髪の毛のまま

窓に目をやるとそこはどしゃ降りの

「雨だ・・・」

「えぇーまゆ雨やだぁ~優人車出してよぉ~ねぇ~」

甘ったるい香りを漂わせて、

濡れた背中にくっつきだす


「急ぐから」

俺は冷たい顔をしたのか

「優人こわぁーい、痛いことするしきらぁーい」

フフっと馬鹿げた顔で笑い始めた


(こいつなんなんだろう・・・)


さっさと支度をして家を出た

「ちょっと!!優人ぉ!!まってぇ!!」

扉を閉めた



体から甘ったるい香りがした気がして

嗚咽が走る



- ○×線 二番ホーム 上り電車が参ります -

夜の上り電車はすいてる

(絶対座ろう眠い・・・)
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