ボランティア
《恋心?》
「…あの…か…和波さん」
「ん?蘭、どうした?」
ある日の朝、大学に行くため玄関に向かおうとしたら蘭に呼び止められた
「…今日は…帰り遅いんですか?」
今日は水曜日
あの日、水曜日に茉莉と関係が復活してから、毎週水曜にホテルに行く状態が続いている
「あー…うん…先に寝てて?」
「…………………はぃ」
蘭の消え入りそうな小さな声に、俺の良心が何故かキュッと軋んだ
別に後ろめたくはない
蘭は単なる同居人だし、彼女じゃないから裏切ってる訳でも浮気してる訳でもない
なのに、蘭の淋しそうな顔を見ると、申し訳ない気分になってくる
靴を履き、玄関のドアノブに手を掛けた時
「………………ってくださいね?…」
「……え?」
「…もし、私が邪魔だったら言って下さいね?……出て行きますんで」
そう言った蘭は、今にも泣き出しそうな笑顔だった