ボランティア
「………ばぁかっ…邪魔じゃねぇよ。気にすんな」
ポンポンッと蘭の頭を軽く撫でてから家を出た
いや、その場から逃げたって言った方が正解かもな
今は蘭の泣き顔は見たくなかったんだ
彼氏でもない俺は、泣き出した蘭をどうしてやるのが正解なのか解らなかったから
大学に着いて講堂に行く前に中庭に向かった
「茉莉っ」
「…和…いつもより早いね?何かあった?」
「俺、どうすりゃいいのかわかんねぇ」
「?」
温もりに触れたくて茉莉を半ば強引に抱き寄せた
「彼女でもない同居人がいるんだ…今朝、何故か泣きそうな顔してて…俺、どうしてやったら良いのか解らなくて逃げてきた」
「……和は、その子の事…大切?」
「まぁ…預かりものだし大切だけど」
「……抱き締めてあげたら?」
「俺の彼女でもないのに?」
「私も今は和の彼女じゃないよ?」
「…………」