ghost~鏡花水月
矢澤美月
目に飛び込んで来た風景に私は呆然と立ち尽くすしか無かった。

泣き叫ぶ母と涙堪えながら天を仰いでる父

お経が聞こえお香の匂いがする祭壇の上には笑っている私の写真がある。
『何故?何故.....私は死ななければ成らなかったの?』

そう私は今幽霊と言う立場で自分のお通夜を見ている。

3日前に私は誰かに殺された!

濡れたタオルを顔にかけられ首を絞められてしまったそんな状況で犯人の顔等分かるはずも無いが何故か触れた事のある感触だけが印象に残った。

伯父さん伯母さん従兄弟に見覚えの無い人達もいるきっと父、母の知人達だと思う。
お通夜も終わりかけた時1人の男性が現れた。

その男性を見て私は思わず手で顔を覆い泣いてしまった。

そう男性は私の恋人幸野直人さん

首を絞められ意識を無くして気が付いた時には私は天井から私を見ていた。
そして直人さんが私の名を叫び慌てて警察に通報してくれたのも見ていた。

『悲しい思いをさせてご免なさい貴方と幸せな人生を歩みたかった』

私は泣きながら呟いた。



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