甘美な蜜のプワゾン
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「お帰りなさいませ。お嬢」
大きな門構えの前で若い衆が1人、深く頭を下げる。
そのタイミングに合わせて、西園寺邸の門扉が自動で開いていく。
「長瀬さん……何度も言ってるけど、その“お嬢”ってのやめてください」
蘭の鞄を半ば奪うように持った長瀬は、大仰に首を振った。
「いえ、お嬢はお嬢ですから」
「……」
(ダメだこりゃ)
これだけは譲れないとばかりに、何度言っても聞き入れてもらえない。
長瀬 翔 19歳。
西園寺家の次男、稟の友人だが、長男である瑠偉に憧れて1年前に組に入ってきた男。
眩い銀髪にシャープな目元。
綺麗な顔立ちで男前なのだが、あまり笑うことがなく、無愛想な奴だと言われてる事は長瀬自身も知っていた。
「お帰りなさいませ。お嬢」
大きな門構えの前で若い衆が1人、深く頭を下げる。
そのタイミングに合わせて、西園寺邸の門扉が自動で開いていく。
「長瀬さん……何度も言ってるけど、その“お嬢”ってのやめてください」
蘭の鞄を半ば奪うように持った長瀬は、大仰に首を振った。
「いえ、お嬢はお嬢ですから」
「……」
(ダメだこりゃ)
これだけは譲れないとばかりに、何度言っても聞き入れてもらえない。
長瀬 翔 19歳。
西園寺家の次男、稟の友人だが、長男である瑠偉に憧れて1年前に組に入ってきた男。
眩い銀髪にシャープな目元。
綺麗な顔立ちで男前なのだが、あまり笑うことがなく、無愛想な奴だと言われてる事は長瀬自身も知っていた。