甘美な蜜のプワゾン
だが、腕っぷしを認められ蘭専属の護衛を任されている。

電車通学をする蘭に、始めの頃は車で送迎すると聞く耳を持たなかったが、瑠偉が蘭に加勢してくれたため、渋々と引いてくれた。

しかし、蘭の帰りを外で待ってる事は決して止めようとしない……。

顔に似合わず、蘭を護る事に闘志を燃やしている長瀬は、時に厄介であった。

「ただいまぁ」

玄関口で長瀬と別れ、大きな洋館の中へと蘭は入って行った。

西園寺邸の広大な敷地には本邸とは別に、蘭の家族だけが住む家がある。

洋画に出てきそうな豪邸。
家族5人で住むには広すぎるのだが、蘭は気に入っている。

「おかえり」

リビングの大きなソファに、偉そうにふんぞり返っている西園寺家長男。

「瑠偉にぃ居たんだ」

最近では家の仕事で家を開ける事が多い瑠偉だけに、会えて嬉しいと蘭は顔を綻ばせた。

「まぁな。また夜は出掛けるけど」

瑠偉が隣に座るよう促してくるのを、蘭は素直に応じて隣に腰を下ろした。

父親とよく似て、誰もが振り返る程の美貌。
目の色素が薄いのは母親譲り。

優しくて包容力のある兄が蘭は大好きだった。
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