甘美な蜜のプワゾン
「おう、蘭帰ったのか。おかえりぃ」

煙草を吹かしながらリビングに入ってきたもう1人の兄。

「ただいま……って稟にぃも居たんだ! 珍し」

滅多に揃う事がない2人の兄に蘭のテンションは上がった。

稟はカリスマモデルとして多忙な日々を過ごしている。

蘭の母親はクォーターなのだが、一見するとハーフに見える程に外国の血が濃い。

その遺伝子を一番強く引き継いだのが次兄の稟。

髪、目ともに色素は薄く、中性的な顔立ちなのに脆弱さはなく、惚れ惚れするほどの美しさがあった。

(そう言えば……何て言うのか、あの太郎先輩と稟にぃってちょっと似てる? 雰囲気がエロいとことか……)

稟がランウェイを歩けば、その妖艶さに時折観客の中で気絶する者がいるらしい。

そのフェロモンを少し分けて欲しいと、常日頃から蘭が思ってるのは誰も知らない。
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