甘美な蜜のプワゾン
(てか私、顔赤くなってたんだ……恥ずかし)

慌てて取り繕う片岡に苦笑が混ざるが、別に嫌な気分にはならなかった。

「それで……もしかしてなんだけど、西園寺さんも美上先輩のファンだったりする!?」

「え!? 太郎……あ、いや美上先輩の!? そんな……ファンってわけじゃ……」

(ファンっていうほど先輩の事何も知らないし)

「そうなの? でもでも、カッコいいよね!」

片岡の大きな声でクラスの女子は驚いた顔で、蘭と片岡を交互に見る。

だけど直ぐに蘭を囲うように女子は盛り上がった。

思わぬ展開に戸惑う蘭だったが、初めてクラスの輪に入れたのは素直に嬉しかった。



(はぁ……それにしても皆の熱すごかったなぁ。改めて太郎先輩の人気を実感)

このクラスだけではなく、学校全体が沸くんだから相当のものだと分かる。

昔、蘭の父親も百蘭高校では絶大な人気があった。
母親がそれを誇らしげに語っていたのを蘭は思い出した。
父の顔と太郎の顔を思い浮かべ蘭はクスリと笑った。

まさか母娘二代でアイドル級の少年に出逢うなど、誰も想像しなかったに違いない。
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