甘美な蜜のプワゾン
顔を上げた瞬間、お互いに驚き、暫く見つめ合うことになる。

人影は無かったように思えたのに、何処から出てきたのか……。

まともに真正面での対面。
しかもその距離2メートルという近距離で見た相手の顔。

その綺麗な顔と瞳に見惚れてしまう。
そしてその目の色に初めて気付く。

インペリアルトパーズ。
美しい黄褐色で、光の加減で金に見えたり橙色に見えたりと、とても綺麗だった。

(コンタクト……じゃなさそう? 顔のつくりからして、不自然じゃないし)

「……蘭ちゃん?」

名前を呼ばれ、蘭は我に返る。

「すみません!」

「ここは生徒会執行部の管轄だし、見つかったら大変だよ? 知ってるとは思うけど」

そう言われて慌てて周囲をチェックする蘭に、太郎はクスリと笑う。

「まあ、今は俺ら以外いないから大丈夫だけど」

「はい……でも、そういう太郎先輩もここに居ちゃマズイんじゃ……」

「俺は大丈夫。許可は一応もらってるし」

「あ……」

(そうだ。確か、今朝あの右京……名村先輩が生徒会長だったって、みんな言ってた)
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