甘美な蜜のプワゾン
「ふぅん、そっか。蘭ちゃんって律儀だね。そんなことでわざわざ礼なんて、ちょっとビックリした」

大人びた表情が一変、ふにゃりと笑うその表情に蘭はくらりと目眩がしそうだった。

(うわ……)

暴れる心臓を落ち着かせようと蘭は胸に手を置いた。

「でも」

「え?」

不意に真剣な顔になる太郎。
蘭はごくりと唾を飲む。

「どうせなら」

「太郎……先輩?」

じりじりと歩み寄ってくる太郎に、条件反射とでもいうのか、蘭の足は後退していく。

そんな蘭にお構い無く、太郎はセクシーな口元に人差し指を置き妖艶に微笑んでくる。

せっかく治まりかけた心臓も復活してしまう。

「キス」

「は……!? キ、キス!?」

「そう」

太郎は何の躊躇いもなく、蘭の腰を抱き寄せてきた。

(£◎§△●☆※!?)

もはや、言葉にならない言葉を心中で叫ぶしかない蘭。
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