甘美な蜜のプワゾン
買い物を済ませた2人が店の外へ出ると、駐車場に止めてるリリの車の傍に、見知ったシルエットが目に入った。

黒いスーツを纏い、煙草を旨そうに吹かす長身の男を見て、蘭とリリは一瞬呆然としてしまっていた。

リリに至っては見惚れてると言った方がいいだろう。

「ね、ねぇお母さん……」

「う、うん……」

男は親子2人に気付くと、煙草を携帯灰皿で消してから優雅に2人へと近づいてきた。

「なんだ……お前ら、変な顔して」

怪訝そうな表情を浮かべながら、蘭とリリの買い物袋を片手で持つと、男は蘭の頭を優しく撫で下ろしていった。

「お、お父さん! お帰りなさい」

「あぁ。お前もな」

優しい表情で見てくる玲に、蘭は嬉しさでいっぱいになる。

「ビックリした……。わざわざ来てくれたの?」

「まあな。ちょうど入れ違いだったみたいで、長瀬から買い物行ったと聞いたからな」

駐車場内には玲を乗せてきただろう車はなかった。

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