甘美な蜜のプワゾン
なんで? と言いたいが声に出せない蘭に、少年はしんなりと微笑んだ。
「今年の新入生に美人が入学したって、俺の周りは妙に騒がしくて。で、有名税と言えば分かるかな? 嫌でも耳に入ってくるんだよ」
有名税……。
まるで芸能人にでもなった気分を味わう表現。
自分が色んな意味で注目されてきた事は嫌というほど知っている。
でも、ここまではっきりと口にされたことはなかった為、むしろ清々しささえ感じてしまう。
「父親はKINGと崇められ、その長男は皇帝として今も君臨している。格好いいね」
「格好いい?」
意外な言葉に蘭は驚いた。
「うん……俺もさ、本当はあんな風に暴れて、何もかも投げ出せたら楽なんじゃないかって思った時もあった。でも、俺は……」
「……」
普通に聞けば、少し馬鹿にしてるのかとも思える言葉。
けれども、彼の表情が一瞬暗く翳(かげ)り、蘭は黙るしかなかった。
「今年の新入生に美人が入学したって、俺の周りは妙に騒がしくて。で、有名税と言えば分かるかな? 嫌でも耳に入ってくるんだよ」
有名税……。
まるで芸能人にでもなった気分を味わう表現。
自分が色んな意味で注目されてきた事は嫌というほど知っている。
でも、ここまではっきりと口にされたことはなかった為、むしろ清々しささえ感じてしまう。
「父親はKINGと崇められ、その長男は皇帝として今も君臨している。格好いいね」
「格好いい?」
意外な言葉に蘭は驚いた。
「うん……俺もさ、本当はあんな風に暴れて、何もかも投げ出せたら楽なんじゃないかって思った時もあった。でも、俺は……」
「……」
普通に聞けば、少し馬鹿にしてるのかとも思える言葉。
けれども、彼の表情が一瞬暗く翳(かげ)り、蘭は黙るしかなかった。