ラベンダー
プロローグ
「本当にごめん。すぐに帰ってくるから!」
「別にいいよ。早く将吾くんたちのところ行ってあげて。」
「本当にすぐ帰るからな!」
そう言って圭太は出ていった。
圭太とは高校のときから付き合っている。
優しくて、明るくて、なんでもできて、一度事故で記憶をなくした私をずっと支え続けてくれた。
大学に行っても順調に付き合い続け、大学を卒業して、お互い就職が決まった今でも私たちの関係は安定している。
ちらほら結婚の話も出てきている。
私たちは地元から離れ、二人とも神戸で就職することになったので、一緒に暮らすことになった。
圭太は片付けがあまり上手ではないので、私が圭太の引っ越しの手伝いに来ていた。そこへ、友達の将吾くんから、急に連絡がきたらしい。
圭太は本当に優しい。あたしはそんな圭太と結婚し、あたたかい家庭を作るのだろう。
頭の中に圭太ではないあの人の顔が浮かぶ。
私はそっとかき消した。
片付けをしていると、奥から圭太のアルバムがたくさん入った段ボールが出てきた。
「圭太、まだ幼いなぁ」
段ボールの一番奥に、一冊の手帳。
どきっとした。この手帳見たことがある。
私のだ。
しかも私の記憶がなくなる前の。
なんで圭太が持っているのだろう。
なにが書かれているのだろう。
見てはいけない、見たらなにかが壊れてしまう。
そう思った。
でも見ないわけがない。手帳には私の記憶がなくなる前の毎日の出来事が書かれていた。
「そういうことだったの……」
人の心はどうしてこんなに複雑なのだろう。
そう感じた。高野 奈保 22歳。
「別にいいよ。早く将吾くんたちのところ行ってあげて。」
「本当にすぐ帰るからな!」
そう言って圭太は出ていった。
圭太とは高校のときから付き合っている。
優しくて、明るくて、なんでもできて、一度事故で記憶をなくした私をずっと支え続けてくれた。
大学に行っても順調に付き合い続け、大学を卒業して、お互い就職が決まった今でも私たちの関係は安定している。
ちらほら結婚の話も出てきている。
私たちは地元から離れ、二人とも神戸で就職することになったので、一緒に暮らすことになった。
圭太は片付けがあまり上手ではないので、私が圭太の引っ越しの手伝いに来ていた。そこへ、友達の将吾くんから、急に連絡がきたらしい。
圭太は本当に優しい。あたしはそんな圭太と結婚し、あたたかい家庭を作るのだろう。
頭の中に圭太ではないあの人の顔が浮かぶ。
私はそっとかき消した。
片付けをしていると、奥から圭太のアルバムがたくさん入った段ボールが出てきた。
「圭太、まだ幼いなぁ」
段ボールの一番奥に、一冊の手帳。
どきっとした。この手帳見たことがある。
私のだ。
しかも私の記憶がなくなる前の。
なんで圭太が持っているのだろう。
なにが書かれているのだろう。
見てはいけない、見たらなにかが壊れてしまう。
そう思った。
でも見ないわけがない。手帳には私の記憶がなくなる前の毎日の出来事が書かれていた。
「そういうことだったの……」
人の心はどうしてこんなに複雑なのだろう。
そう感じた。高野 奈保 22歳。